日本が高度成長期に入っていく時代の、海と俊の恋物語でもあり、戦争を過去に抱えた父母の物語でもあるアニメ映画『コクリコ坂から』は、スタジオジブリ制作・宮崎吾朗監督の作品です。
今回は、そんな『コクリコ坂から』に登場する旗について、意味や海が毎朝揚げる理由、また、最後のシーンで旗を揚げる理由やモデルとなった場所について解説します。
コクリコ坂からの旗の意味は?
出典元:スタジオジブリ
海が揚げる旗の意味:国際信号旗UとWは安全な航海を祈る
海が毎朝、揚げている旗は、国際信号旗UとWで「安全な航海を祈る」という意味です。
海が旗を揚げる理由は父親を思ってのこと
出典元:スタジオジブリ
幼少期の頃の海は、父・澤村雄一郎が迷子にならないように旗を揚げていたと語っています。
その当時は、物干し台に旗を出し父親の帰りを待っていたようです。
その後、雄一郎は、朝鮮戦争で乗り組んでいた戦車揚陸艦の触雷沈没で亡くなってしまいましたが、海は毎日旗を揚げ続けました。
雄一郎が亡くなった事を、海は理解していますが、今も続くその習慣は、父親の安全な航海を願ってのことでしょう。
祖母の花は、海が旗を揚げる姿を見ると切なくなるようで、海に素敵な人ができ、旗を揚げなくてもすむようになる事を願っています。
俊は海の旗に返事をする
ちなみに、海があげていたUW旗は「航海の安全を祈る」という意味で、俊が乗るタグボードの旗はそれに対する返礼。知り合う前に二人は旗で交流していた。#コクリコ坂から #ジブリ pic.twitter.com/q10ilQwSBK
— キャッスル@ジブリフリーク (@castle_gtm) August 12, 2016
俊は通学で使っているタグボートから、コクリコ荘の海が揚げた旗と同じ「U」と「W」の旗の上に、三角の返答旗を足し、「了解しました。こちらもそちらの安全な航海を祈っています。」と返事をしています。
旗を揚げる少女の記事が週刊カルチェラタンに掲載される
旗を揚げる少女の記事が週刊カルチェラタンに掲載されました。
少女よ君は旗をあげる
なぜ
朝風に想いをたくして
よびかける彼方
気まぐれなカラスたちを相手に
少女よ今日も紅と白の
紺に囲まれた色の
旗は翻るー 風 ー
引用元:フィルム・コミック『コクリコ坂から』
その少女が海とは書かれていませんが、旗を揚げていることを知っている俊が、この記事を書いたのでしょう。
海のクラスメイトで、旗の事を知っている信子や悠子も「メルのことよね。」と。
少し頬を赤くした海は、心なしか嬉しそうな感じがしました。
北斗さんの送別会の旗の意味はH・O・K・U・T(ホクト)
北斗さんの送別会の日、メルが揚げたのは5枚の国際信号旗。
旗を揚げ終わった直後、送別会に招待されていた風間俊が現れ「H・O・K・U・T(ホクトだ)」と。
この時のメルの笑顔が素敵でした。
一緒にいた水沼史郎は、信号旗が読める俊に驚いていました。
北斗さんの門出を祝った、メルの粋な計らいですね。
最後のシーン海が旗を揚げる理由
最後のシーンで旗を揚げる海は力強く充実した表情が見て取れます。
脚本を共同執筆された丹羽圭子(にわけいこ)氏によりますと、このシーンはシナリオには無かったそうです。
丹羽氏は、ラストシーンの旗について、父親の代わりに俊に向けて揚げていると思ったそうですが、宮崎吾朗監督に聞いてみると、人はそんなに簡単には変われなくて、海はまだ父親のために旗を揚げていると仰ったそうです。
最後のシーン海が旗を揚げる理由も父親を思ってのことのようですね。
きっと海の父親への思いは生涯変わらないと思いますが、俊との関係がはっきりし、これから進む俊との未来を考えた海の前向きな気持が、ラストの表情になったのではないかと思いました。
旗のモデルとなった場所は横浜の港の見える丘公園
千代崎マリン
「港の見える丘公園に掲げられている旗にはちゃんと意味があって、国際信号旗で「ご安航を祈る」のメッセージになっているわ!
映画「コクリコ坂から」で主人公のメルが掲げていたことでも有名ね!」#Yoccoの1日 pic.twitter.com/hN9C2HG6Rt— Yocco18 (@yokohama18ku) July 30, 2022
【YOKOHAMA SNAP】港の見える丘公園のUW旗
港の見える丘公園内には、スタジオジブリの「コクリコ坂から」の記念スポットがあり、作中のモチーフでもあるUWの国際信号旗が掲げられている。その意は「安全なる航海を祈る 」。https://t.co/ueWOFwz9zo pic.twitter.com/yqaNCXPJD2— THEYOKOHAMASTANDARD (@yokosta_) May 25, 2017
旗のモデルとなった場所は横浜の港の見える丘公園です。
「U」「W」の国際信号旗が揚げられています。
港町の空気を肌で感じる事のできる港の見える丘公園は、眼下に横浜港やベイブリッジが広がり、夜景も楽しめます。
観光地やデートスポットとしても人気の場所のようです。
港の見える丘公園(みなとのみえるおかこうえん) | |
所在地 | 神奈川県横浜市中区山手町114 |
営業時間 | 24時間営業(※フランス山は夜間閉鎖あり) |
電話番号 | 045-671-3648 |
駐車場 | 有料17台(料金等の詳細はこちら(公財)横浜市緑の協会駐車場のご案内から) |
※港の見える丘公園についての情報は、現時点での情報ですので、申し訳ございませんが変更になっている場合もあるかもしれません。
まとめ
今回は、アニメ映画『コクリコ坂から』に登場する旗について、意味や海が毎朝揚げる理由、また、最後のシーンで旗を揚げる理由やモデルとなった場所について解説しました。
海が揚げている旗は、国際信号旗UとWで「安全な航海を祈る」という意味です。
父・雄一郎が亡くなった後も海が旗を揚げ続けるのは、父親を思ってのことでしょう。
最後のシーン海が旗を揚げる理由も父親を思ってのこと。
旗のモデルとなった場所は横浜の港の見える丘公園です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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