『君たちはどう生きるか』は、2023年に公開された宮崎駿監督による長編アニメーション映画で、10年ぶりの新作として世界中から大きな注目を集めました。
この作品では、太平洋戦争中に母を亡くした少年・眞人が不思議な塔の下の世界で繰り広げる冒険が描かれています。
物語の終盤、眞人たちが現実世界へ戻るために訪れる時の回廊には、「132」や「559」といった謎めいた番号が付いた扉が登場しますが、これらの数字には、どのような意味が込められているのでしょうか?
今回は、そんな扉の数字「132」の意味や、扉の数字「559」の意味、また、時の回廊について考察していきます。
君たちはどう生きるかの132の意味を考察!
🎊発表🎊
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) April 17, 2025
5月2日(金)よる8時2分~9時 ※一部地域を除く
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それでは、132の意味の考察を始めます。
眞人が元の世界へ戻るための扉
132は、映画の終盤で眞人が元の現実世界に戻るための扉の番号です。
ヒミは眞人を時の回廊にある132の扉の前に連れて行き「マヒトはここから戻れ。」と告げます。
眞人だけでなく、青サギ、そして、夏子もこの132の扉から現実世界へと戻りました。
132という数字の月齢説
132という数字について、考えられるのが月齢説です。
132ヶ月は11年に相当し、これは眞人が生まれてからの月数(年齢)に関連している可能性があります。
映画の中で、眞人は11歳の少年として描かれているため、ヒミ(眞人の母親)が「眞人の年齢を数える」という、母親としての行為を数字として表現しているという考え方です。
132の語呂合わせ説
もう一つの解釈として、132は日本語の語呂合わせで「ひみつ(秘密)」を意味するという説です。
日本語では、数字をひらがなに置き換えることで言葉を作る「語呂合わせ」の伝統がありますが、「1(い)3(み)2(つ)」で「いみつ」となり、「ひみつ(秘密)」を連想させます。
これは、ヒミ(眞人の母)の名前の「ヒミ」とも響き合うものがあり、物語における母子の秘密の関係性を暗示しているとも考えられますね。
眞人とヒミの感動的な別れの場面
物語終盤、132の扉の前では、眞人とヒミの間で感動的な会話が交わされました。
ヒミは眞人に自分とは別の扉から現実世界に戻るよう伝えますが、眞人は戻ればヒミが火事で亡くなってしまうと心配します。
ヒミは自分の運命を受け入れ、眞人という素晴らしい子を産めることの喜びを伝えますが、眞人は、それでも生きていてほしいと訴えると、ヒミは彼の優しさに感動して「お前っていい子だなっ!」と眞人を抱きしめるヒミ。
この場面で、ヒミは自分が眞人の母親であること、そして現実世界に戻れば火事で死ぬ運命にあることを受け入れています。
それでも彼女は、眞人を産むことを素敵なことと肯定的に捉え、このやり取りは、母親の無償の愛と自己犠牲の精神を表現しているように感じました。
559の意味と時の回廊

出典元:スタジオジブリ
ここからは、扉559の意味や時の回廊についてです。
扉559の意味
ヒミとキリコが戻る559という扉の番号について考えられることは、559は日本語の語呂合わせで「ここく」と読めるという説です。
「5(こ)5(こ)9(く)」で「ここく」となり、これは「古国」や「故国」を連想させます。
ヒミとキリコにとって、戻る先は「古き良き時代」や「故郷の国」という意味があるのかもしれません。
また、彼女たちが戻る先は約1年間失踪していた時代であり、その時代への帰還を意味している可能性もあります。
時の回廊とは何か
時の回廊は、塔の中に存在する場所で、多数の扉が並んでいます。
それぞれの扉には異なる番号が割り振られており、これらの扉は異なる時代や世界へ通じているのでしょう。
塔は、いろんな世界にまたがって建っていると作中描写されており、時の回廊はそれらの世界を行き来する通路として機能していると思われます。
つまり、時の回廊は時空を超える通路であり、異なる時代や世界への入り口なのではないでしょうか。
これによって、過去と現在、現実と異世界が交差する物語の構造が成立しているのではないかと思いました。
まとめ
今回は『君たちはどう生きるか』に登場する132や559の扉、そして時の回廊について考察しました。
時の回廊の扉は、ただのファンタジー的な装置ではなく、登場人物たちの選択や帰るべき場所、そして生き方そのものを表しているように感じられます。
132の扉は、眞人の年齢や母ヒミとの絆を象徴し、現実へ戻る決意の場として機能しました。
一方で、559の扉はヒミとキリコにとっての故郷やかつての世界への帰還を意味していたのかもしれません。
このように、数字や空間に込められた隠された意味を紐解くことで、ほんの少しですが、物語の深層に触れることができたような気がします。
そして何より、母ヒミと眞人のやりとりは、命のリレーと母の無償の愛を描いた、心に残る名シーンでした。
『君たちはどう生きるか』が伝えたかったことの一つに、誰かのために生きることの美しさ、そして、自分で選んだ道を信じて進むことの尊さなどもあるのかもしれないと考えました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。